不動産・預貯金・株式を名義変更する方法
遺産をどのように分けるのかが決まったら、名義変更をしなければいけません。父親の遺産を引き継ぐ場合は、父親の名義から自分の名義に書き換えなければいけません。相続人が1人しかいない場合であっても、名義変更は必要です。
名義変更を行うわないと、多くのデメリットがあります。長い間放置していると、思わぬトラブルに巻き込まれてしまうかもしれません。
今回は、名義変更の重要性と、名義変更の方法について解説します。
相続後の名義変更はお早めに
遺産分割の話し合いがまとまり、遺産を取得したら、出来る限り早いうちに名義変更等の手続きを行いましょう。名義変更を放置していると、下記のようなデメリットがあります。
- ・銀行の口座が凍結(とうけつ)されたままで、現金を引き出すことができない
- ・相続人の誰かが勝手に遺産を売却してしまうかもしれない
- ・土地やマンションを自由に売却することができず、新たに貸し出すこともできない
- ・相続人の1人が亡くなると、新たな相続が発生してさらに手続きが複雑となる
遺産分割で財産を取得した相続人は名義変更を済ませてしまえば、自由に現金を引き出すことができます。土地やマンションを自由に売却したり、新たに貸し出して賃料収入を得ることもできます。
以上の通り、名義変更を済ませることによって、遺産分割によって取得した相続財産を自由に処分することができるようになります。遺産をどのように分配するのかが決まったら、お早めに名義変更を済ませておきましょう。
相続財産の名義変更をするには
それでは、名義変更はどのように行えばいいのでしょうか。
預貯金の名義変更は銀行で、不動産は法務局で、株式は各証券会社で行わなければいけません。このため、名義変更には、時間がかかります。相続財産の種類が多ければ多いほど、名義変更には時間がかかります。
ご自身で手続をする時間が無いという方は、当事務所までご相談ください。当事務所では、相続による名義変更のを受け付けております。
弁護士にご依頼していただければ、名義変更をスムーズに行うことができます。名義変更の不備を防ぐこともできます。
ご自身で名義変更をすることををお考えの方は、下記をご参考にしてください。
預貯金の名義変更・解約の方法
銀行や信用金庫、信用組合、労働金庫に預けたお金のことを、「預金」といいます。ゆうちょ銀行、JAバンク、JFマリンバンクに預けたお金のことを、「貯金」といいます。
相続財産が預金か貯金かによって、名義変更・解約の方法が異なります。
貯金の名義変更
お近くの郵便局やゆうちょ銀行で手続きを行うことができます。
まず、ゆうちょ銀行が指定する「相続確認表」を記入します。「相続確認表」は、最寄りの郵便局の窓口や、ゆうちょ銀行の貯金窓口で受け取ることができます。
「相続確認表」を記入したら、最寄りの貯金窓口に提出します。提出してから1〜2週間ほどすると、ゆうちょ銀行から「必要書類のご案内」という手紙が送られてきます。
この手紙の中に、名義変更・解約に必要な書類の一覧が書かれています。一般的には、下記の書類が必要となります。
貯金の名義変更・解約に必要な書類
- 亡くなった方の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本(除籍、改製原戸籍を含む)
- 通帳、貯金証書、キャッシュカード
- 相続手続請求書(ゆうちょ銀行が指定する書類です)
- 本人確認書類(運転免許証、健康保険証など)
- 遺言書、遺言の検認調書(遺言によって相続した場合)
- 遺産分割協議書(遺産分割協議によって相続した場合)
- 名義変更をする方の戸籍謄本
預金の名義変更・解約
預金の名義変更は、銀行や信用金庫の窓口で行います。
各金融機関によって、手続きの方法は異なります。一般的には、下記の書類が必要となります。必要な書類は、「遺産分割協議によって相続したケース」と「遺言によって相続したケース」によって、異なります。
遺産分割協議によって相続したケース
遺産分割協議によって相続した場合は、下記の書類が必要となります。
- 相続届又は相続による名義変更届(金融機関が指定する書類です)
- 通帳、預金証書、キャッシュカード
- 亡くなった方の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本(除籍、改製原戸籍を含む)
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の戸籍謄本、印鑑登録証明書
遺言によって相続したケース
遺言によって相続した場合は、下記の書類が必要となります。
- 相続届又は相続による名義変更届(金融機関が指定する書類です)
- 通帳、預金証書、キャッシュカード
- 亡くなった方の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本(除籍、改製原戸籍を含む)
- 名義変更をする方の戸籍謄本、印鑑登録証明書
- 遺言書、遺言の検認調書
不動産の名義変更の方法
土地や一軒家、マンションなどの不動産は、「不動産の所在地を管轄する法務局」で名義変更の手続きを行います。
名義変更に必要となる書類は、下記の通りです。
- 登記申請書(法務局の窓口で受け取ることができます)
- 亡くなった方の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本(除籍、改製原戸籍を含む)
- 名義変更をする方の戸籍謄本、印鑑登録証明書
- 遺産分割協議書、相続人全員の戸籍謄本(遺産分割協議によって相続した場合)
- 遺言書、遺言の検認調書(遺言によって相続した場合)
名義変更をする際には、登録免許税を支払わなければいけません。登録免許税は、固定資産税の評価額の0.4%です。通常は、収入印紙で支払います。
株式の名義変更の方法
株式の名義変更の手続きは、証券会社や信託銀行を通して行います。通常は、亡くなった方の口座がある支店で行います。
必要となる書類は、証券会社によって異なりますが、一般的には下記の通りです。
- 株式名義書換請求書、株主票(証券会社が指定する書類です)
- 株券がある場合は、株券
- 亡くなった方の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本(除籍、改製原戸籍を含む)
- 名義変更をする方の戸籍謄本、印鑑登録証明書
- 相続人全員の戸籍謄本、印鑑登録証明書(遺産分割協議によって相続をした場合)
- 遺言書、遺言の検認調書(遺言によって相続した場合)
なお、非上場株式の場合は、株券発行会社に直接問い合わせをする必要があります。
弁護士なら司法書士との連携で名義変更までの対応が可能
以上でご説明した方法は、あくまで一般的な方法です。手続きの際に必要となる書類は、具体的なケースによって異なります。具体的なアドバイスを聞きたいという方は、当事務所までご相談ください。
当事務所は、日頃から相続の案件に力を入れており、相続のご相談については初回60分無料で受け付けております。弁護士業務20年以上の経験のある弁護士が在籍しており、相続による名義変更を取り扱った実績もあります。
当事務所では、司法書士と連携してトラブルの解決にあたっております。名義変更の手続きを進めるうちに司法書士のサポートが必要となった場合は、提携先の司法書士と連携してトラブルの処理に取り組みます。相続についてお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。