前妻との子どもや非嫡出子の相続分はどうなるのか?

現在の日本では、3組に1組が離婚すると言われています。前妻との子どもが相続人となるケースは、珍しいことではありません。

それでは、離婚した前妻との間に子どもがいる場合は、その子どもは実父の遺産を相続することができるのでしょうか?再婚相手の連れ子となっている場合はどうなのでしょうか?

また、最近では事実婚を選択するカップルも増えています。事実婚の間に生まれた子どもは、親の財産を相続することができるのでしょうか?事実婚ではなく、愛人との間に生まれた子どもや、父親の認知(にんち)を受けていない子どもは、どうなるのでしょうか?

今回は、前妻の子どもや非嫡出子(ひちゃくしゅつし)の相続について分かりやすく解説します。なお、下記はあくまで一般的なルールを説明したものです。具体的なケースによっては考え方が異なりますので、ご自身の相続について具体的なアドバイスを聞きたいという方は、当事務所までご相談ください。

当事務所では、相続が発生する前のご相談も受け付けております。「もし自分が亡くなった場合には誰が相続人となるのか」「子ども同士が遺産で揉(も)めないように遺言を書いておきたい」というご相談も受け付けております。

相続のご相談について初回60分は無料で受け付けております。相続についてお悩みの方は、ご予算を気にすることなくお気軽にご相談ください。

前妻の子どもにも相続権がある

離婚をした夫婦は、法律上は赤の他人となります。婚姻期間中であれば、お互いの財産を相続することができますが、離婚後には相続をする権利はなくなります。

もし元夫が再婚しておらず、天涯孤独の身であったとしても、同様です。元妻が遺産を引き継ぐ権利はありません。

これに対して、子どもの取り扱いは異なります。両親が離婚をしても、親子関係は続きます。元妻が子どもを引き取って育てている場合であっても、法律上の父子関係は残ります。

よって、ある男性が亡くなった場合に、元妻との間に子どもがいる場合は、その子どもが遺産を相続する権利を有します。

【具体例1】相続人が前妻との子どものみであるケース

ある男性が亡くなった場合に、その男性が再婚しておらず、相続人として前妻との間の子どもが1人しかいない場合は、その子どもが全ての財産を引き継ぎます。

【具体例2】前妻が再婚しているケース

前妻が再婚している場合であっても、考え方は同じです。

ある男性が亡くなった場合に、その前妻が再婚していて、子どもが再婚相手の養子となっていたとしても、その子どもが亡くなった男性の相続人となります。

亡くなった男性の相続人が子ども1人である場合は、その子どもが遺産を全て引き継ぎます。

【具体例3】男性が再婚していて再婚相手との間に子どもがいるケース

亡くなった男性が再婚をしていて、新しい妻との間に子どもがいる場合は、どうなるのでしょうか?

前妻との間に子どもが1人、新しい妻との間に子どもが1人いる場合を考えてみましょう。

この場合、相続人は「新しい妻」と「新しい妻との子ども」と「前妻との子ども」の3人が相続人となります。

新しい妻は、配偶者として2分の1の相続分を有します。2人の子どもは、残りの2分の1を均等に相続します。つまり、前妻との子どもと新しい妻との子どもが、平等に4分の1ずつ相続します。

ここでのポイントは、「元妻の子どもであっても、現在の妻の子どもであっても、全く同じ法定相続分を持つ」という点です。このような場合は比較的争いが生じやすいケースとなっておりますので、あらかじめ遺言書を作成しておくことをお勧めいたします。

【具体例4】音信不通となっているケース

離婚をすると、元の家族とは一切連絡を取らないということがあります。このような場合であっても、戸籍上の親子関係が残っている以上、前妻との子どもは相続人になります。

子どもが誕生してすぐに離婚をして、何十年間も会っていないという場合であっても、その子どもは相続権を有します。一度も会ったことがない親子であっても、法律上の親子関係がある以上、相続をする権利があります。

このような場合は、亡くなった方の戸籍や住民票をたどって、子どもの居場所を探し出したうえで、相続の手続きを行わなければいけません。

このように、お亡くなりになった方と相続人が疎遠であるケースは、実務上は珍しいことではありません。当事務所にご相談に来ていただいた方の中にも、「相続の話し合いを始めるどころか、そもそも相続人が見つからない」と途方にくれている方もいらっしゃいます。相続人を探し出すことが難しい場合は、当事務所までご相談ください。

前妻との子どもでも遺留分侵害額請求ができる

前妻との子どもでも、本妻の子どもに対して遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)をすることができます。

遺留分侵害額請求については、「侵害された遺留分を取り戻す!遺留分侵害額請求は弁護士にご相談を」で詳しくご説明しています。さらに詳しく知りたい方は、そちらをご覧ください。

非嫡出子にも相続権がある

次に、非嫡出子の相続について見ていきましょう。

非嫡出子の法定相続分(ほうていそうぞくぶん)は、平成25年9月4日に最高裁判所の決定が出たことによって、大きく取り扱いが変わりました。専門家でも間違えやすい分野であったため、注意が必要です。

非嫡出子の相続の手続きは、特にトラブルが生じやすい分野です。お悩みの方はお早めに当事務所までご相談ください。

嫡出子とは

まず、「嫡出子とは何か」という点を確認しておきましょう。

嫡出子と非嫡出子の違いは、「婚姻関係にある夫婦間に生まれた子どもであるかどうか」という点です。

法律上の婚姻関係にある夫婦間に生まれた子どものことを「嫡出子」、そうでない子どもを「非嫡出子」と呼びます。

嫡出子とは、「戸籍上で夫婦と認められている夫婦間の子ども」を指します。具体的には、下記の子どもを指します。

  • ・婚姻期間中に妻が妊娠・出産をした子ども
  • ・いわゆる「授かり婚」「できちゃった結婚」によって生まれた子ども
  • ・婚姻期間中に妻が妊娠して、夫が死亡した後に出産した子ども
  • ・婚姻期間中に妻が妊娠して、離婚後300日以内に出産した子ども
  • ・養子縁組をした子ども

非嫡出子とは

非嫡出子は、上記以外の子どもを指します。内縁の夫婦の間に生まれた子どもや、愛人との間に生まれた子どもは、非嫡出子です。いわゆる「婚外子」や「隠し子」と呼ばれるケースです。

認知をしている場合

父親が非嫡出子を認知をすることがありますが、認知をしても嫡出子とはなりません。

認知とは、「法律上の父子関係を認める制度」です。認知によって、「法律上の父子関係」が発生しますが、「非嫡出子である」という身分は変わりません。

非嫡出子を嫡出子とするためには、養子縁組(ようしえんぐみ)の手続きをすることが必要です。

父親の姓を名乗っている場合

認知をされた子どもは、裁判所で手続きをすると、父親の姓を名乗ることができます。父親と同じ姓であっても、養子縁組の手続きをしていない以上は、非嫡出子の身分のままです。

嫡出子の身分を得るためには、養子縁組の手続きをすることが必要です。

非嫡出子の相続

非嫡出子であっても、父親の遺産を相続する権利があります。ただし、「相続割合」については注意が必要です。

それでは、非嫡出子はどれぐらいの割合で相続をすることができるのでしょうか?

実は、「いつ相続が発生したか」によって異なります。

平成25年9月5日から現在までの間に開始した相続

現在の法律では、嫡出子と非嫡出子が同等の割合で相続をすると定めています。これは、平成25年9月4日の最高裁判所の決定によって決まりました。

よって、平成25年9月4日以降に発生した相続については、嫡出子と非嫡出子を同等に扱います。例えば、嫡出子1人と非嫡出子1人が相続人である場合は、2人で半分ずつ遺産を分配します。

平成13年7月1日から平成25年9月4日までの間に開始した相続

以前の法律では、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1であると定めていました。このため、非嫡出子は嫡出子の半分しか相続をすることができませんでした。

しかし、このような取り扱いは憲法に反するとして、平成25年に最高裁判所が決定を出しました。最高裁判所の判断によると、「遅くとも平成13年7月時点においては違憲であったと考えられるため、これ以降の相続については、非嫡出子であっても嫡出子と同等の扱いをするべきである」としています。

よって、平成13年7月1日以降に開始した相続については、非嫡出子と非嫡出子は同等の割合で相続することになります。

ただし、平成13年7月1日以降に開始した相続であっても、既に遺産分割の手続きが終了している場合は、覆(くつがえ)すことはできません。

つまり、既に遺産分割協議書を作成している場合や、遺産分割の調停が終了している場合は、その内容が非嫡出子が半分しか相続しないというものであっても、その内容を遵守(じゅんしゅ)しなければいけません。

平成13年7月1日よりも前に開始した相続

平成13年7月1日よりも前に発生した相続については、改正前の古い法律が適用されるため、非嫡出子の相続分は嫡出子の半分となります。

例えば、嫡出子1人と非嫡出子1人が相続人である場合は、嫡出子が3分の2、非嫡出子が3分の1の法定相続分を有します。

非嫡出子でも遺留分侵害額請求ができる

非嫡出子であっても、本妻の子どもに対して遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分減殺については、別のページで詳しくご説明しています。さらに詳しく知りたい方は、そちらをご覧ください。

前妻との子どもや非嫡出子がいる場合は相続トラブルが生じやすい

以上の通り、前妻との間に子どもがいる場合や、非嫡出子がいる場合は、法定相続分の計算が複雑となります。特に、非嫡出子の取り扱いは、平成25年に最高裁判所が決定を出したことによって大きく変わったため、相続のトラブルが生じやすいケースとなっています。

このようなトラブルを避けるためにも、前妻との間に子どもがいる場合や、非嫡出子がいる場合は、事前に公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)を作成しておくことをお勧めいたします。

遺言書が法的に有効と認められるためには、法律に定められている様々な条件を満たさなければいけません。法的に有効な遺言書を作成するためには、あらかじめ法律の専門家である弁護士にご相談しておくと安心です。

当事務所では、日頃から相続の案件に力を入れており、遺言書の作成についても今までに多数取り扱った実績があります。前妻との子どもや非嫡出子の相続でお悩みの方は、いつでもお気軽にご相談ください。

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