遺言内容と異なる遺産分割はできるのか?

相続人全員の合意があれば遺言と異なる遺産分割ができる

お亡くなりになった方が遺言を残している場合、必ず従わなければいけないのでしょうか?

実は、法的に有効な遺言が残されている場合であっても、相続人全員の合意があれば、遺言と異なる内容で遺産分割をすることができます。

例えば、遺言に「実家は長男に譲る」と書かれていたとしても、長男は実家に住む意思がなく、次男が実家に住みたいと考えていることがあります。

このような場合に、必ず遺言を守らなければいけないとすると、長男にも次男にも不満が残ってしまいます。お亡くなりになった方にとっても、ご遺族が争うことは不本意なことかもしれません。

そこで、このような場合には、相続人全員が話し合いを行い、相続人全員が納得するのであれば、遺言の内容に反することになりますが、次男が実家を相続することができます。

このように、遺言が残されている場合であっても、相続人全員が納得しているのであれば、遺言の内容と異なる方法で遺産分割を行うことができます。

ただし、遺言と異なる内容で遺産分割を行う場合には、いくつか注意しなければいけない点があります。

今回の記事では、遺言の内容と異なる方法で遺産分割を行う場合の注意点について、分かりやすく解説します。

なお、下記はあくまで一般的なご説明です。遺産分割の方法には様々なスタイルがありますので、ご自身の状況に応じてケースバイケースに判断しなければいけません。ご自身の状況に即して具体的なアドバイスをお聞きしたいという方は、当事務所までお気軽にご相談ください。

当事務所では、遺言や遺産分割に関するお悩みについては初回60分のみ無料でご相談を受け付けております。遺言の内容と異なる方法で遺産分割を行うことをお考えの方は、ご予算を気にすることなくお気軽にお問い合わせください。

遺言と異なる内容で遺産分割を行う場合の注意点

遺言の内容に不満がある場合、遺言とは異なる内容で遺産を分割することができます。ただし、遺言と異なる内容で遺産分割を行う場合には、下記の3点に注意しましょう。

注意点1:必ず遺産分割協議を行わなければいけない

遺言と異なる内容で遺産分割を行うためには、「相続人全員で話し合って合意すること」が必要です。

相続人全員で遺産の分割方法について話し合うことを、「遺産分割協議」といいます。遺言と異なる方法で遺産を分割するためには、必ず「遺産分割協議」を行わなければいけません。

遺産分割協議を行っていない場合は、遺言に書かれている内容が優先されます。遺産分割協議を行うことなく、遺言の内容とは異なる方法で相続をしようとしても、法的な効力はありません。

注意点2:相続人の一人でも反対している場合は遺産分割協議が不成立となる

遺産分割協議を成立させるためには、「相続人全員の合意」が必要です。多数決で決めることはできません。

このため、遺産分割をまとめるためには、全員が納得するまで話し合わなければいけません。一人でも反対している場合は、遺産分割協議は不成立となります。

相続人の一人だけが「遺言の内容を守るべきだ」と主張している場合であっても、その一人の意見を無視することはできません。反対している人物が納得するまで、話し合いを続けなければいけません。

また、相続人全員が「遺言の内容に納得がいかない」という点で合致していても、具体的な遺産の分割方法について意見が合わない場合には、遺産分割協議は不成立となります。

どれだけ話し合っても遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の「遺産分割調停」の制度を利用することができます。

遺産分割調停については、遺産分割調停・審判の手続きと進め方についてでご説明していますので、詳しくはそちらをご覧ください。

注意点3:遺産分割協議がまとまったら必ず遺産分割協議書を作っておく

遺言と異なる内容で遺産分割協議がまとまった場合は、必ず「遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)」を作成しましょう。

遺産分割協議書とは、「遺産分割で話し合われた内容を記録するための書類」です。

遺産分割協議書は、相続の手続きを進めるうえで重要な書類となります。例えば、遺産の中に預金が含まれている場合は、銀行で名義変更をしなければ、預金を自由に引き出すことはできません。名義変更をする際には、銀行から遺産分割協議書の提出を求められます。

つまり、遺産分割協議書がなければ、いつまで経っても預金を自由に使うことはできません。

遺言のとおりに相続をする場合は、銀行に遺言を提出すれば、預金の解約等の手続きができます。しかし、遺言とは異なる方法で遺産分割を行った場合は、遺産分割協議書の提出が必要とされています。

その他にも、相続税の申告書類として、遺産分割協議書を提出するように求められることがあります。遺産に土地や建物が含まれている場合は、移転登記のために遺言書が必要です。

以上のとおり、遺産分割協議書は相続の手続きを進めるうえで重要な書類となりますので、必ず作成しておきましょう。

さらにもう一つ、遺産分割協議書には重要な役割があります。「将来のトラブルを防止する」という役割です。

遺言の内容と異なる内容で遺産分割を行った場合、遺産分割協議書を残していなければ、どのように遺産分割を行ったのかを示す証拠が残りません。遺産分割協議から何年も経過してしまうと、当事者ですら話し合いの内容を忘れてしまうおそれがあります。

このため、遺産分割協議書を残していない場合は、何年か経った後に、「この土地は果たして誰が相続したのか」ということが不明となり、親族間で争いとなるリスクがあります。「遺言のとおりに長男が相続したのではないか」「話し合いによって長女が相続することになったはずだ」というように、「言った」「言わない」の争いになるおそれがあります。

特に、遺言の内容と異なる内容で遺産分割を行った場合には、遺言だけが残されていて、遺産分割協議書が残されていないと、混乱の元となってしまいます。

このようなリスクを避けるためにも、遺産分割協議がまとまった段階で、できる限りお早めに遺産分割協議書を作成することが重要です。

なお、遺産分割協議書の中には、たくさんの法律用語が出てきます。法律に精通していない方が遺産分割協議書を作成すると、トラブルの火種となるおそれがあります。遺産分割協議書を作成する際には、専門家にご依頼されることをお勧めいたします。

当事務所では日頃から相続の案件に力を入れており、これまでに数多くの遺産分割協議書を作成した実績がございます。遺産分割協議書を作成することをお考えの方は、どうぞ安心して当事務所にご相談ください。

遺言と異なる遺産分割が認められない場合

上記で説明したとおり、遺言が残されている場合であっても、遺言の内容と異なる方法で遺産分割を行うことができます。

ただし、例外的なケースとして、遺言と異なる方法で遺産分割方法をすることが認められない場合があります。

下記の2つのケースでは、遺言と異なる方法で遺産分割をすることが認められていません。

ケース1:遺言執行者の同意が得られない場合

お亡くなりになった方が、遺言の内容を確実に実現するために、遺言によって「遺言執行者(ゆいごんしっこうしゃ/いごんしっこうしゃ)」を指定することがあります。

遺言執行者とは、「遺言に記載された内容を実現するために、相続の手続きを代行する人」のことです。

遺言執行者は、遺産を管理・処分する権限を有します。たとえ相続人であっても、遺言執行者の許可を得なければ、遺産を処分することはできません。遺言執行者の許可が無ければ、預金の名義変更をすることはできませんし、土地や建物を売却することもできません。

遺言執行者は、相続人よりも強い権限を有します。よって、遺言と異なる方法で遺産を分割したい場合には、必ず遺言執行者の同意を得ることが必要です。

相続人全員が合意している場合であっても、遺言執行者の同意が得られなければ、遺言と異なる方法で遺産分割を行うことはできません。

ケース2:遺言によって遺産分割協議が禁止されている場合

遺言の中に、「遺言と異なる方法で遺産分割をしてはいけない」という内容が記載されている場合は、遺言で指定された方法以外で遺産分割を行うことはできません。

このような場合に、遺言と異なる内容の遺産分割協議を行ったとしても、その遺産分割は無効となります。たとえ相続人全員が合意していたとしても、遺言に書かれている内容が優先されます。

遺言と異なる遺産分割を行いたい方は当事務所までご相談ください

法的に有効な遺言が残されている場合であっても、相続人全員の合意があれば、遺言に書かれた内容とは異なる方法で遺産分割を行うことができます。

ただし、遺言と異なる内容で遺産分割を行う場合には、法律上のルールとして注意しなければいけない点がいくつかありますので、慎重に手続きを進めなければいけません。

また、遺言と異なる内容で遺産分割協議がまとまった場合は、できる限りお早めに「遺産分割協議書」を作成することが重要です。

遺産分割協議書を作成していない場合は、どのような結論で遺産分割がまとまったのかを示す証拠が残らないため、将来的にトラブルとなるおそれがあります。

遺産分割協議書は、法律的に専門性の高い書類です。遺産分割協議書を作成する場合は、専門家にご依頼されることをお勧めいたします。

当事務所ではこれまでに数多くの遺産分割協議書を作成した実績がございます。遺言と異なる内容で遺産分割を行いたいとお考えの方は、どうぞ安心して当事務所にご相談ください。

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