遺言書にはどんな種類があるのか?

松村弁護士
代表弁護士 松村 武 (まつむら たけし)

遺言書は、残された家族の相続手続きをスムーズにするための重要な書類です。遺言書が残されていれば、相続トラブルが生じるリスクを大きく減少させることができます。

反対に、遺言書が残されていないと、お亡くなりになった方の意向を遺族が読み取ることができず、相続財産をめぐる争いが生じてしまうかもしれません。遺産分割の際にトラブルが生じると、相続の手続きが終了した後になっても、感情のもつれが残ってしまうことがあります。

このように、遺言書には重要な役割があります。ご自身の相続についてご家族がトラブルとなる心配がある場合には、遺言書を作成しておくことをお勧めいたします。

それでは、遺言書を作成する場合、どのような点に気をつけたらよいのでしょうか?法的に有効な遺言を残すためには、どうしたらよいのでしょうか?

今回は、法律で認められている主な3種類の遺言を紹介し、それぞれのメリットとデメリットを解説します。

なお、下記はあくまで一般的なケースを想定したご説明です。ご自身のケースに即して具体的なアドバイスをお聞きしたいという方は、当事務所までご連絡ください。

当事務所では、遺言に関するお悩みについて初回60分のみ無料でご相談を受け付けております。遺言の作成をご検討されている方は、ご予算を気にすることなくお気軽にお問い合わせください。

遺言書には3種類ある

法律で認められている遺言には、3種類あります。

それぞれの遺言の特徴を見ていきましょう。

「自筆証書遺言」とは、自分で手書きした遺言のこと

自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん/じひつしょうしょいごん)とは、その名のとおり、「自ら手書きをして作成した遺言」のことです。

自筆証書遺言は、自分の手で全文を書かなければいけません。パソコンを使って作成することはできません。

パソコンを使って記載した場合は、その遺言は無効となります。無効というのは、「遺言は無かったものと扱われる」ということです。

その他にも、自筆証書遺言が有効なものと認められるためには、法律で様々な条件が定められています。せっかく書いた遺言が、些細(ささい)なミスによって無効とならないためにも、一文字ずつ間違えないように慎重に手書きをしなければいけません。

「公正証書遺言」とは、公証役場で作成した遺言のこと

公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん/こうせいしょうしょいごん)とは、公証役場(こうしょうやくば)で作成する遺言のことです。

公証役場とは、「法律事務を取り扱う役場」のことです。各都道府県に設置されており、全国に約300箇所あります。

公証役場には、「公証人(こうしょうにん)」という法律の専門家が勤務しています。公証人は、元裁判官や元検察官などの法律実務経験を有する人たちの中から選ばれます。

つまり、公証人は、豊富な実務経験を有する法律のエキスパートです。

公証人は、役場に勤務する公務員であるため、中立・公正な立場で、法律業務を取り扱います。遺言の作成についても、客観的な立場からアドバイスをしてくれるため、安心して任せることができます。

それでは、公正証書遺言はどのように作成するのでしょうか?

まず、おおまかな遺言の内容を考えたうえで、遺言の下書きを作ります。その下書きを公証役場に持っていくと、公証人が遺言の内容を確認してくれます。

内容に問題がある場合は、公証人がアドバイスをしてくれます。修正すべき点があれば、公証人と相談しながら本文を直します。

遺言の本文が完成すると、遺言の原本は公証役場で保管してもらいます。希望する方には、正本(せいほん)や謄本(とうほん)、抄本(しょうほん)が渡されます。正本や謄本、抄本とは、遺言のコピーのことです。

「秘密証書遺言」とは、内容を秘密にしたまま作成した遺言のこと

公証役場で作成する遺言には、2種類あります。1つは、上記で説明した「公正証書遺言」です。もう1つは、「秘密証書遺言(ひみつしょうしょゆいごん/ひみつしょうしょいごん)」です。

秘密証書遺言は、遺言の内容を公開したくない方が利用する遺言です。

秘密証書遺言は、どのように作成するのでしょうか?

まず、自分で遺言書を作成して、厳重に封印をします。このとき、手書きをする必要はありません。パソコンで記載しても構いません。

この封筒を、公証役場に持っていきます。公証役場に出向く際には、証人として2名を連れて行かなければいけません。証人は友人や知人でも構いませんが、弁護士に依頼する方もいらっしゃいます。

公証人は、「封書された遺言が、間違いなく本人によって書かれたものである」ということを確認したうえで、封筒に署名捺印をします。全ての手続きが終わると、封筒は本人に返却されます。自宅に持ち帰って保管しても構いませんし、銀行の金庫などで保管しても構いません。

なお、公証人は、封筒の外から遺言の存在を確認するのみで、封筒を開封することはありません。つまり、公証人が遺言の本文を読むことはありません。

このため、遺言の内容は、公証人にも知られることはありません。

それぞれの遺言書にはメリットとデメリットがある

次に、それぞれの遺言のメリットとデメリットを見ていきましょう。

自筆証書遺言のメリットとデメリット

まず、自筆証書遺言のメリットとデメリットです。

自筆証書遺言のメリット

一番のメリットは、「手軽に作成できる」という点です。ペンと印鑑さえあれば、いつでも作成することができます。お金もかかりません。

自分ひとりで作成できるため、思い立ったときにすぐに作成することができます。書き直したいと思えば、いつでも書き直すことができます。

自筆証書遺言のデメリット

最大のデメリットは、「無効となるリスクがある」という点です。

日本の法律には、自筆証書遺言の書き方について厳格な定めがあります。このため、1つでも条件を満たしていない場合は、無効となってしまいます。

例えば、日付を書き忘れてしまうと、遺言は無効となります。署名捺印がない場合も、無効となります。

無効となった遺言は、「初めから存在しないもの」と扱われます。せっかく心をこめて手書きをした遺言であっても、たった1箇所でも法的不備があれば、「存在しないもの」と扱われてしまう可能性があります。

無効となるかどうかは、実際に遺産分割の協議が始まるまで分かりません。他の2種類の遺言に比べると、自筆証書遺言はリスクの高い方法です。

もう1つのデメリットは、「保管に注意が必要」という点です。

自筆証書遺言は、ご自身で保管しなければいけません。入院中に自宅に放置していると、親族の誰かに見られてしまうかもしれません。入院する部屋が相部屋である場合は、第三者の出入りがあるため、誰かに見られてしまうかもしれません。

遺言を盗み見た人が、もし遺言の内容に不満があれば、無断で書き換えてしまうかもしれません。こっそり捨ててしまうかもしれません。

このようなリスクを避けるためには、誰にも見つからないように十分に注意をしたうえで、厳重に保管しなければいけません。

公正証書遺言のメリットとデメリット

次に、公正証書遺言のメリットとデメリットです。

公正証書遺言のメリット

最大のメリットは、「法的に確実に有効な遺言書を作成できる」という点です。

公証人は、豊富な実務経験を有する法律のエキスパートです。公証人が責任を持って遺言の内容を確認してくれるため、法的不備が生じるおそれはありません。

また、公正証書遺言は、公証役場で原本を保管してくれます。ご自身で管理をする必要がありません。

公正証書遺言のデメリット

公正証書遺言を作成するためには、公証役場に手数料を支払わなければいけません。手数料の金額は、相続財産の価額によって異なりますが、およそ数千円から数万円ほどかかります。

例えば、遺産の総額が1,000万円であれば、手数料は17,000円です。遺産の総額が1億円であれば、手数料は43,000円です。

秘密証書遺言のメリットとデメリット

最後に、秘密証書遺言のメリットとデメリットです。

秘密証書遺言のメリット

最大のメリットは、「遺言の内容を誰にも知られることがない」という点です。

遺言の内容が外に漏(も)れてしまうと、遺言をこっそり書きかえてしまう方や、遺言を燃やしてしまう方が出てくるかもしれません。

他にも、遺言の内容によって不利となる方から、「どうか遺言を書き換えてくれ」とお願いをされるかもしれません。遺言によって不利となる方々が結託(けったく)して、遺言を書きかえるようにプレッシャーをかけてくるかもしれません。

いずれにしろ、生前に遺言の内容が知られてしまうと、トラブルの火種となるおそれがあります。

秘密証書遺言は、作成する本人以外は、中身を確認することができません。遺言の内容を誰にも知られることがないため、偽造や変造の心配がありません。

秘密証書遺言のデメリット

秘密証書遺言は、自筆証書遺言と同じように、「無効となるリスクがある」というデメリットがあります。

公証人は、封筒の外から遺言の存在を確認するのみで、封筒を開封することはありません。つまり、遺言の本文を読むことはありません。このため、いざ遺言を開封してみると、内容に不備があるために無効となる、という可能性があります。

つまり、秘密証書遺言は、「遺言の存在そのもの」を証明する手段とはなりますが、「遺言書の内容が法的に有効である」ということまでは担保されません。

無効となりうる遺言が残されていると、かえってトラブルの元となります。遺言によって有利となる相続人は、「この遺言は有効である」と争い、遺言によって不利となる相続人は、「この遺言は無効である」と主張して、話し合いは平行線となってしまいます。

話し合いで解決しなければ、最終的には裁判所で判断してもらうことになります。裁判所で遺言の有効性を争っている間は、遺産分割の話し合いは中断しなければいけません。このため、相続の手続きが終了するまでに長い時間がかかってしまいます。

このように、無効となる可能性がある遺言が残されている場合は、トラブルの火種となってしまいます。家族のために作成した遺言が、かえって悩みの種となってしまうかもしれません。

遺族にとって一番安心なのは「公正証書遺言」を残すこと

せっかく遺言を作成するのであれば、無効となるリスクの少ない遺言を残しておきましょう。無効となりうる遺言を残してしまうと、トラブルの火種となってしまいます。

法的に最も確実な遺言は、「公正証書遺言」です。公正証書遺言では、公証人が遺言の内容を確認してくれるため、法的不備が生じるおそれはありません。

自筆証書遺言を残した場合は、遺族が「本当に本人がこの遺言を書いたのか」ということを疑うおそれがあります。このような場合は、筆跡鑑定を行ったり、裁判所で遺言無効確認について争わなければいけません。

また、遺言の下書きがゴミ箱から発見された場合には、「どちらが本物の遺言なのか」ということをめぐって争いとなることもあります。このようなリスクは、自筆証書遺言や秘密証書遺言を作成する場合には、どうしても避けることができません。

しかし、公正証書遺言であれば、このようなリスクはありません。

遺言書作成は弁護士にご相談ください

遺言の書き方は法律で厳格に定められていますので、お一人で作成すると無効となるおそれがあります。わざわざ時間を書けて作成した遺言が、わずかなミスによって無効となってしまうかもしれません。

無効となりうる遺言が残されていると、遺族が混乱してしまい、かえってトラブルの元となってしまいます。

このようなリスクを避けるためにも、当事務所では、法的に最も確実に有効となりうる公正証書遺言の作成をお勧めしております。

公正証書遺言を作成するためには、まずは遺言書の原案を作成することが必要となります。当事務所では、公正証書の原案の作成業務を受け付けております。

なお、公正証書遺言を作成する際には、証人として2名が必要となりますが、当事務所では証人としての立ち会い業務もお受けしております。

当事務所は、日頃から相続の案件に力を入れており、これまでに数多くの遺言を作成した実績があります。弁護士実績20年以上の弁護士も在籍しておりますので、遺言の作成をご検討されている方は、どうぞ安心してご相談ください。

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