遺言書が無効になる場合について

自筆証書遺言は手軽だが要件を満たしていないと無効となる

亡くなった方がご自身で手書きをして作成した遺言を、「自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん/じひつしょうしょいごん)」といいます。

自筆証書遺言は、思い立ったときにすぐに作成することができます。紙と印鑑さえあれば、いつでもどこでも作成することができます。

このように、自筆証書遺言には「手軽である」というメリットがあります。しかし一方で、「無効になりやすい」というデメリットもあります。

それでは、遺言はどのような場合に無効となるのでしょうか?遺言が無効なのか有効なのかは、誰がどのように決めるのでしょうか?

今回は、遺言が無効となる原因を具体例を交えて分かりやすく解説し、遺言が無効となる場合の手続きの流れについても紹介します。

なお、下記はあくまで一般的なご説明です。遺言が無効となるかどうかは、様々な事情を考慮した上で専門的に判断することが必要となります。一律に線引きができる問題ではありません。遺言が無効になるかどうかは、ケースバイケースに判断することが必要です。

ご自身の状況に即して具体的なアドバイスをお聞きしたいという方は、当事務所までお気軽にご相談ください。

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遺言が無効となる原因とは

遺言が無効になるのは、具体的にどのような場合でしょうか?

原因1:法律で必要とされている形式を充たしていない場合

自筆証書遺言で最も多いのが、「形式不備」を理由として無効となるケースです。

遺言は、相続人に大きな影響を与える重大な書類です。このため、日本の法律には、自筆証書遺言の書き方について厳格な定めがあります。

法律で定めた形式を1つでも充たしていない場合は、その遺言は無効となってしまいます。

例えば、日本の法律では、遺言に「遺言を作成した日付」を記載することを要求しています。このため、日付を書き忘れてしまうと、その遺言は無効となります。

おおよその年月を記載しただけでは、「日付」とはいえません。「2018年12月」という記載だけでは、日にちが分かりませんので、その遺言は無効となります。

きちんと「2018年12月1日」というように、日付を明らかにしなければいけません。

また、日本の法律では、自筆証書遺言は「全文を手書きしなければいけない」と定められています。よって、パソコンで本文を書いて最後に署名捺印をした遺言は、無効となります。

その他にも、法律では、「遺言は1人1通ずつ作成しなければいけない」と定められています。よって、夫婦が2人で1通の遺言書を作成した場合は、その遺言は無効となります。

このように、法律では遺言について様々な形式を要求しています。上記で紹介した以外にも、様々な方式が必要とされています。

法律に精通していない方がご自身で遺言を作成した場合は、些細なミスによって無効となるおそれがあります。

原因2:認知症が進行した段階で遺言を作成した場合

法律では、認知症の方が遺言を作成することを禁止していません。よって、認知症になった方であっても、まだ症状が軽度であり、正常な判断能力が残されているのであれば、遺言を作成することができます。

ただし、有効な遺言を作成するためには、遺言を作成するための十分な判断能力が必要となります。この判断能力のことを、「遺言能力」といいます(民法963条)。

既に認知症が進行しており、自己の財産について正常な判断をすることができない場合には、その段階で作成した遺言は無効となります。

原因3:詐欺や強迫によって遺言を作成した場合

ご本人の意思によって書かれていない遺言には、法的効力がありません。

誰かに騙(だま)されて遺言を書かされた場合や、誰かに脅(おど)されて遺言を書いた場合は、ご本人の意思とはいえませんので、遺言の効力はありません。

さらに、詐欺や強迫をした人物が相続人である場合は、その人物は相続欠格(そうぞくけっかく)となります。相続欠格とは、相続人の資格を失うことです。

たとえば、父親に対して、「実家を息子に譲るという遺言を書かないと、実家に火をつける」と脅して、無理やり遺言を書かせた場合を考えてみましょう。

父親を脅した人物は、実家を相続することができないうえに、そもそも相続人の資格を失うことになるため、その他の財産も一切引き継ぐことができなくなります。

原因4:そもそも遺言書に書いても効果が及ばない事項がある

遺言は関係者に大きな影響を与えるものであるため、「遺言の内容として記載できること」は、法律で厳格に定められています。

遺言の内容として記載できる事項としては、「遺産分割の方法の指定」や、「遺言執行者の指定」などが法律に列挙されています。

よって、これ以外のことを遺言に記載しても、法的な効力はありません。

たとえば、「再婚相手の連れ子を引き取って、成人するまで一緒に暮らすように」という事柄を記載しても、法的な強制力はありません。「兄弟3人で仲良く過ごすように」という記載をしても、法的な効力はありません。

もっとも、このような事柄を記載しても、遺言そのものが無効になるわけではありません。「兄弟仲良く」という部分に法的拘束力がないだけであって、遺言そのものは有効となります。

遺言が無効かどうかは最終的には裁判所が判断する

遺言が無効である疑いがある場合は、最終的には裁判所で判断をしてもらいます。

裁判所に判断してもらう方法としては、2種類あります。「家庭裁判所で調停を行う」という方法と、「地方裁判所で遺言無効確認の訴えを行う」という方法です。

どちらの手続きを利用するべきかは、ケースバイケースに判断します。原則として、他の相続人と話し合いでの解決の見込みがあるのであれば、まずは家庭裁判所で調停を行うべきだとされていますが、争いが複雑化している場合は、最初から地方裁判所に訴訟を提起することが認められています。

いずれにしろ、法的に専門性の高い手続きとなります。遺言が無効となる疑いがある場合は、お早めに専門家にご相談されることをお勧めいたします。

公正証書遺言はほとんど無効となる心配がほとんどない

遺言にはいくつかの種類がありますが、法的に最も確実な遺言は、「公正証書遺言」です。公正証書遺言とは、公証役場で作成する遺言のことです。

公証役場には、「公証人(こうしょうにん)」という法律の専門家が勤務しています。公正証書遺言を作成する際には、公証人が、中立・公正な立場に立って、法律的なアドバイスをしてくれます。

公証人が責任を持って遺言の内容を確認してくれるため、公正証書遺言を作成した場合は、法的な形式ミスが生じるおそれはありません。

例えば、遺言に日付が書かれていない場合は無効となりますが、公正証書遺言では、このような法的不備が生じるおそれはありません。

もちろん、公正証書遺言であっても、無効となる可能性はゼロではありません。ごく稀なケースとして、公正証書遺言でも無効となることがあります。例えば、公正証書遺言を作成した時点で遺言能力がなかった場合は、その遺言は無効となります。

しかし、公正証書遺言が無効となるケースはめったにありません。他の種類の遺言と比べると、公正証書遺言が最も確実性の高い手段といえます。

遺言の無効でお悩みの方は当事務所までご相談ください

遺言の書き方は法律で厳格に定められていますので、法律に精通していない方が作成すると、些細なミスによって無効となるおそれがあります。

無効な遺言が残されていると、ご遺族の方が混乱してしまい、ひいては相続トラブルの原因となってしまいます。

遺言の内容が不明確な場合もトラブルの原因となります。

このようなリスクを避けるためにも、今から遺言書を作成することをお考えの方には、無効となるリスクが最も少ない「公正証書遺言」の作成をお勧めいたします。

公正証書遺言を作成するには、戸籍を取り寄せて相続関係を調査したうえで、大まかなドラフトを作成しなければいけません。相続関係の調査やドラフトの作成には法的知識が必要となりますので、お悩みの方は当事務所までご相談ください。

当事務所は日頃から相続の案件に力を入れており、これまでに数多くの公正証書遺言を作成した実績がございます。これから遺言書を作成することをお考えの方は、どうぞ安心して当事務所にご相談ください。

また、当事務所では相続人からのご相談も受け付けております。無効となる疑いがある遺言についてお悩みの方や、遺言の有効性について疑問をお持ちの方は、当事務所にご相談ください。

当事務所には、弁護士経験20年以上の弁護士が在籍しており、これまでに数多くの遺言に関するトラブルを取り扱った実績がございます。遺言が無効になるのかどうかについてお悩みの方は、どうぞ安心してご相談ください。

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