相続の認証(単純承認・限定承認・財産放棄)について

相続には単純承認・限定承認・相続放棄の3つの選択肢がある

相続を承認する方法には、3種類があります。「単純承認」と「限定承認」と「相続放棄」です。

「相続放棄」という言葉は日常生活でよく耳にしますが、「単純承認」や「限定承認」は聞き慣れない言葉かもしれません。

それでは、「単純承認」や「限定承認」とは、どのような方法なのでしょうか?3つの承認方法は、どのような点が異なるのでしょうか?

今回は、3種類の相続の承認方法について分かりやすく解説します。また、「相続放棄」と間違えやすい手段として、「遺産の放棄」という方法もありますので、記事の後半では、「相続放棄」と「遺産の放棄」の違いについても説明します。

なお、下記はあくまで一般的なご説明です。相続の承認には様々なスタイルがありますので、どのような方法が適切であるかはご自身の状況に応じてケースバイケースに判断しなければいけません。

ご自身の状況に即して具体的なアドバイスをお聞きしたいという方は、当事務所までお気軽にご相談ください。

相続の承認方法についてのご相談は、初回60分のみ無料で受け付けております。お悩みの方は、ご予算を気にすることなくお気軽にご相談ください。

単純承認・限定承認・相続放棄の違い

相続を承認する方法には、3種類があります。順番に見ていきましょう。

単純承認はプラスとマイナスの財産をすべて相続する

「単純承認(たんじゅんしょうにん)」とは、プラスの財産もマイナスの財産も全て引き継ぐ方法です。

お亡くなりになった方が借金を抱えている場合であっても、明らかにプラスの財産の方が多い場合は、単純承認をすることが一般的です。

単純承認をするためには、特に手続きを行う必要はありません。相続が開始したことを知ってから3ヶ月の間に何もしなければ、単純承認をしたものとみなされます。

役所や裁判所に申請をする必要はありません。

遺産の一部を処分すると単純承認をしたものとみなされる

相続が開始してまだ3ヶ月が経っていなくても、遺産の一部を処分した場合には、単純承認をしたものとみなされます。

たとえば、預金を払い戻して自分のために使ってしまったり、遺産の中にマンションが含まれている場合に、そのマンションを売却したときには、単純承認をしたものとみなされます。

マンションを売却するという行為は、相続人としてふるまう行為です。このため、売却をした後になって、「やはり気が変わったので相続放棄をする」と言い出すことは認められないことになっています。

よって、遺産を処分した後になって、マイナスの財産の方が多いことに気がついたとしても、相続放棄をすることはできません。

遺産を処分する際には、あらかじめ「マイナスの財産がどれぐらいあるのか」についてきちんと調べておきましょう。きちんと調査しないうちに遺産を処分してしまうと、相続放棄をすることができなくなってしまいます。

限定承認では相続する財産が総額としてマイナスになることがない

限定承認とは、遺産にプラスの財産とマイナスの財産が含まれている場合に、「プラスの財産の範囲でのみ、マイナスの財産を相続する」という方法です。

たとえば、遺産の内容を調査した結果、プラスの財産(資産)が1,000万円で、マイナスの財産(借金)が1,500万円であった場合を考えてみましょう。

単純承認をすると、総額として500万円のマイナスとなります。

限定承認をした場合は、1,000万円の資産を引き継いだうえで、借金のうち1,000万円の部分について返済義務を負います。借金が500万円残ることになりますが、相続人が返済する義務はありません。

つまり、プラスの財産として1,000万円を取得して、借金の返済として1,000万円を支払うことになります。トータルとしては、プラスマイナスがゼロとなります。総額としてマイナスになることはありません。

このように、限定承認の最大のメリットは、「遺産の総額がプラスかマイナスか分からない場合でも、引き継ぐ財産の総額がマイナスとなる心配がない」という点です。

遺産の総額がプラスなのかマイナスなのか分からない場合は、限定承認を行うと、総額としてマイナスの財産を負担するリスクがなくなります。

単純承認をした場合には、引き継いだ財産が総額としてマイナスとなるおそれがあります。限定承認をすると、遺産の総額がマイナスであった場合でも、プラスの財産を超える金額については引き継ぐ必要がありません。

限定承認の手続きは煩雑であるため利用件数は少ない

限定承認はメリットもありますが、デメリットもあります。「手続きが非常に煩雑である」という点です。

限定承認をするには、相続人全員の合意が必要です。1人でも反対している場合は、限定承認をすることはできません。積極的に反対していない場合であっても、「手続きが面倒なので気が進まない」というように、同意が得られないのであれば、限定承認をすることはできません。

また、限定承認をするには、3ヶ月以内に財産目録や相続関係図を作成したうえで、家庭裁判所で手続きをしなければいけません。葬儀や香典返しで慌ただしくしていると、3ヶ月という短い期間はあっという間に過ぎてしまいます。

このように、限定承認を行うためには、短い期間に膨大な手続きを行わなければいけません。手続きが煩雑であるため、実務上ではあまり利用されていません。

全ての相続を放棄するのが相続放棄

相続放棄は、全ての相続財産を放棄する方法です。相続放棄をすると、プラスの財産もマイナスの財産も全て放棄しなければいけません。

相続放棄をした後になって、相続財産の総額がプラスであることが発覚することがあります。しかし、一度相続放棄をすると、プラスの財産を引き継ぐことはできなくなります。

相続放棄をする場合は、限定承認と同様に、3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きをしなければいけません。ただし、限定承認のように、相続人全員で手続きを行う必要はありません。このため、相続放棄をする場合は、自分のペースで迅速に手続きを進めることができます。

相続人全員で手続きをする必要がないため、限定承認に比べると、利用しやすい制度です。このため、実務上では、限定承認よりも相続放棄の方が多く利用されています。

「遺産の放棄」では借金は相続されてしまうので注意!

相続の手続きを進めるうえで、「遺産の放棄」という言葉が使われることがあります。

「遺産の放棄」と「相続の放棄」は、言葉は似ていますが、全く別の意味を持ちます。間違えないように注意しましょう。

「遺産の放棄」は、法律上に明確な定義があるわけではありません。遺産分割で使われる際には、「土地やマンションは管理が大変そうだから、不動産については遺産を放棄する」というように、特定の財産を放棄する意味で使われます。

「遺産の放棄」は、相続人同士で内々に使う言葉に過ぎません。対外的には、相続人であるという立場は変わりません。

よって、遺産にマイナスの財産が含まれている場合は、注意が必要です。借金などのマイナスの財産は、銀行や信用金庫などの第三者から借り入れているものです。「遺産を放棄する」と言うだけでは、取り立てから逃れることはできません。

借金の取り立てから免れるためには、相続放棄をすることが必要です。

相続放棄は、「相続人としての立場そのものを放棄する」という手段です。相続放棄をすると、全ての財産について権利を失います。マイナスの財産についての返済義務もなくなります。

以上のように、「遺産の放棄」と「相続の放棄」は、全く意味が異なります。混同しないように気をつけましょう。

相続の承認でお悩みの方は当事務所までご相談ください

相続を承認する方法には、3種類あります。「単純承認」と「限定承認」と「相続放棄」です。

限定承認はメリットの大きい制度ですが、「手続きが非常に煩雑である」というデメリットがあります。限定承認をお考えの方は、専門家にご相談されることをお勧めいたします。

相続放棄は、限定承認に比較すると、使い勝手の良い制度ですが、やはり手続きを進めるうえでは膨大な資料が必要となります。ご自身で準備をするとかなりの手間がかかりますので、相続放棄をお考えの方は、専門家にご依頼されることをお勧めいたします。

当事務所は日頃から相続の案件に力を入れており、これまでに相続放棄や限定承認に関するご相談を数多く取り扱った実績がございます。相続放棄や限定承認についてお悩みの方は、どうぞ安心して当事務所にご相談ください。

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