相続財産を正確に調査するためのポイント

松村弁護士
代表弁護士 松村 武 (まつむら たけし)

相続トラブルを防止するためにはきちんと財産調査を行うことが必要

相続では、お亡くなりになった方の全ての財産を引き継ぎます。お亡くなりになった方から引き継ぐ財産のことを、「相続財産」や「遺産」といいます。

相続財産には、現金や預貯金などのプラスの財産だけでなく、住宅ローンや借金などのマイナスの財産も含みます。

相続が始まった場合には、遺産分割を行う前に、「相続財産としてどのようなものがあるか」をきちんと調査することが必要です。

調査を怠ってしまうと、後になってマイナスの財産があることが発覚するかもしれません。もしくは、後になって高価な財産が見つかり、遺産分割をやり直すことになってしまうかもしれません。

遺産分割を行った後になって、新たな財産が発覚した場合は、また遺産分割協議をやり直さなければいけません。一度は相続人全員が合意に達した場合であっても、新たな財産が高価なものである場合や、多額の借金である場合には、新たな遺産を巡って争いが生じるおそれがあります。

このように、遺産分割を行った後になって新たな財産が発覚した場合には、相続トラブルが発生するリスクが高くなります。このようなリスクを防ぐためにも、遺産分割を行う前に、正確に相続財産を調査しておくことが重要です。

なお、遺言が残されている場合であっても、多くのケースでは、財産調査を行う事が必要となります。

遺言の中に財産目録があったとしても、遺言が数年前に書かれたものである場合は、現時点での名義を確認しなければいけません。また、財産目録に記載されていない財産が存在する可能性がありますので、その他の財産についても調査を行う必要があります。

それでは、相続財産の調査を正確に行うためには、どのような点に気をつければよいのでしょうか?

今回は、相続財産をの種類ごとに調査方法のポイントを解説し、相続財産の調査を専門家に依頼することのメリットについても紹介します。

なお、下記はあくまで一般的なご説明です。相続財産の調査には様々なスタイルがありますので、正確な調査を行うためには、ご自身の状況に応じてケースバイケースに判することが必要です。

ご自身の状況に即して具体的なアドバイスをお聞きしたいという方は、当事務所までお気軽にご相談ください。

当事務所には、弁護士経験20年以上の弁護士が在籍しており、これまでに数多くの相続財産の調査を取り扱った実績がございます。相続財産の調査についてお悩みの方は、どうぞ安心してご相談ください。

財産の種類別の調査方法のポイント

相続財産には、亡くなった方が所有していたあらゆる財産が含まれます。相続財産の調査は、財産の種類ごとにポイントが異なります。

それぞれの財産ごとに、調査方法のポイントを見ていきましょう。

預貯金の調査

お亡くなりになった方がどの金融機関に口座を持っていたのか分からない場合は、直接金融機関に問い合わせをして調査を行います。

亡くなった方の口座が1つでも分かっている場合は、その口座の取引履歴を調べることによって、別の銀行の口座の手がかりが残されていることがあります。

他にも、お亡くなりになった方の自宅に残されている郵便物や契約書に、手がかりが残されていることがあります。

不動産の調査

お亡くなりになった方のご自宅に、権利証や売買契約書が残されている場合には、これらの書類によって名義を確認することができます。

他にも、固定資産税の納税通知書や、固定資産評価証明書など、税金関係の書類によって名義を確認することができます。

ただし、これらの書類の日付が古い場合には、最新の記録を確認する必要があります。最新の記録とは、「死亡した時点での名義の記録」です。最新の記録を確認するためには、法務局の記録を閲覧する必要があります。

住所が分かっている不動産については、法務局で所有者を確認することができます。たとえば、実家として使っていた一軒家やマンションは、正確な住所が分かるため、法務局で名義を確認することができます。

このときの注意点としては、「住宅やマンションそのものの名義を確認するだけでなく、土地の所有者についても確認する」ということです。土地の所有者が異なる場合は、借地権(しゃくちん)が付いているかどうかを調査する必要があります。

証券口座の調査

お亡くなりになった方が株式の取り引きを行っていた場合には、証券口座を持っていた可能性がある金融機関に、直接問い合わせを行います。

お亡くなりになった方のご自宅に株券が残されている場合には、その株券に記載されている事項を手がかりにして、証券口座を探し出します。

また、税務署から届いた株式の課税通知が残されている場合は、その通知に記載されている事項を手がかりにして、口座が見つかることがあります。

生命保険の調査

生命保険金は、お亡くなりになった方が生前に所有していた財産ではなく、その方が死亡した後に、受取人に直接支払われる財産です。このため、多くの場合は、生命保険金は相続財産に含まれません。

ただし、契約内容によっては、例外的に相続財産に含まれることがあります。このため、お亡くなりになった方が生命保険を契約していた場合には、契約書を取り寄せて契約の内容をきちんと確認することが必要です。

また、生命保険金が相続財産に含まれない場合であっても、生命保険金が高額である場合は、「特別受益」に準ずるものとして扱われる該当する可能性があります。

特別受益とは、「相続人の中に特別な利益を受けた人がいる場合に、その価額を相続財産とみなして、遺産分割を行うこと」です。

よって、お亡くなりになった方が生命保険を契約していた場合には、受取人の人数や保険金の金額など、契約の詳細を正確に確認することが必要となります。

なお、「特別受益」や「持戻し」の具体的な計算方法については、「特別受益にあたる贈与と計算方法について」で説明しております。詳しく知りたい方は、そちらをご覧ください。

弁護士に依頼するメリット

相続財産の調査は、相続人がご自身で行うことも可能ですが、当事務所には相続財産の調査をご依頼される方がたくさんいらっしゃいます。

弁護士に調査を依頼すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?

隠し財産が見つかる可能性が高くなる

お亡くなりになった方が遺言を作成していた場合であっても、その遺言に全ての財産が記載されていないことがあります。

このような隠れた財産のことを、「隠し財産」といいます。お亡くなりになった方に隠し財産があることは、実務上では珍しいことではありません。

たとえば、お亡くなりになった方が、「A銀行に300万円ほど貯金があるが、自分が死ぬまでにリハビリの費用として全部使ってしまうだろうから、遺言に記載しなくてよいだろう」と考えて、あえて記載しないことがあります。

このような場合に、亡くなるまでに100万円しか使わなかったのであれば、残りの200万円は隠し財産となります。

また、お亡くなりになった方が、うっかり記載し忘れるという場合もあります。遺言に記載し忘れるケースとして多いのが、「保証債務」です。

保証債務とは、お金を借りた本人が返済できない場合に、代わりに借金を肩代わりするという債務です。お亡くなりになった方が、他人の借金の保証人となっていた場合は、その保証債務も相続の対象となります。

保証債務は、お亡くなりになった方ご自身の借金ではありません。本人が借金をしていたわけではないため、お亡くなりになった方ご自身が、うっかり保証債務のことを忘れてしまうことがあります。

よって、遺言の中に保証債務について書かれていなくても、保証債務があるかどうかはきちんと調査しなければいけません。

以上のように、お亡くなりになった方に隠し財産があることは、珍しいことではありません。相続の手続きを行う際には、隠し財産がある可能性を念頭に入れて、念入りな調査を行うことが必要です。

隠し財産は、相続人がご自身で調査を進めても、見つからないおそれがあります。お亡くなりになった方のご自宅を探せば、税金の書類や郵便物などに、隠し財産の手がかりが残されていることがあります。

しかし、相続の手続きに精通していない方がこれらの書類を見ても、見逃してしまうおそれがあります。法律の知識がない方にとっては、重要な書類とそうでない書類の区別は難しいため、うっかり処分してしまうおそれもあります。

親しいご家族が亡くなった場合には、ご葬儀や香典返しなどで慌ただしくなります。お線香をあげるために第三者が出入りをする機会も増えるため、慌てて自宅を片付けてしまい、重要な書類を廃棄してしまうかもしれません。

ご家族が亡くなった場合は、ただでさえお忙しい時期となります。隠し財産に関する手がかりがあったとしても、見逃してしまうリスクは高くなります。

隠し財産を見逃すリスクを避けるためにも、相続財産の調査は専門家にご依頼されることをお勧めいたします。

相続に精通した弁護士であれば、どのような書類に手がかりがあるのかを熟知しています。専門的なノウハウを使って調査を行いますので、隠し財産を見つけることができる可能性が高くなります。

弁護士は特別な権限を使って財産調査を行うことができる

相続財産の記録は、プライバシー性の高い個人情報です。

よって、知人や友人に頼んで相続財産の情報を取り寄せることはできません。

特に、銀行などの金融機関は、厳格に個人情報を保護しています。相続人がお忙しい場合に、会社の部下や友人に手続きをお願いしようとしても、相続人以外の第三者からの問い合わせには、銀行が応じてくれることはありません。

しかし、弁護士には特別な権限が認められています。弁護士には広範な代理権があるため、弁護士にいにんすれば、弁護士が相続人の代理人となって、銀行などの金融機関に問い合わせをすることができます。

銀行に限らず、市役所や税務署などの公的機関に対しても、委任を受けた弁護士は相続人の代わりとなって問い合わせをすることができます。戸籍を取り寄せることができますや税金に関する記録は、プライバシー性の高い個人情報ですが、弁護士であればあらゆる情報を取り寄せることができます。

弁護士は、相続人と全く同じ立場に立って、記録を取り寄せることができます。ご本人と全く同じ権限を持ちますので、いわば「分身」のような存在です。

このような弁護士の権限は、法律で認められている正当な権利です。

お仕事でお忙しいために、平日に役所や金融機関で手続きをすることが難しい方は、弁護士にご依頼されることをお勧めいたします。

正確な財産調査をご希望の方は当事務所にご連絡ください

遺産分割を行う際には、「相続財産としてどのようなものがあるか」をきちんと調査することが必要となります。

相続財産の調査を怠ってしまうと、後になってマイナスの財産があることが発覚するかもしれません。高価な遺産を見逃してしまうおそれもあります。

遺産分割を行った後になって、新たな財産が発覚した場合は、また遺産分割協議をやり直さなければいけません。このような二度手間を防ぐためにも、遺産分割を行う前に、正確に相続財産を調査しておくことが重要です。

相続財産の調査には、法的な知識が必要となります。これから調査を行うことを検討されている方は、相続に精通した弁護士にご依頼されることをお勧めいたします。

弁護士には広範な権限がありますので、ご依頼された方の分身となって、煩雑(はんざつ)な手続きを代行いたします。また、弁護士はどのような書類に隠し財産の手がかりがあるのかを熟知していますので、相続に精通した弁護士に依頼すれば、隠し財産が見つかる可能性が高くなります。

当事務所でも、相続財産の調査を受け付けております。当事務所は日頃から相続の案件に力を入れておりますので、これまでにの数多くの相続財産の調査を取り扱った実績がございます。相続財産の調査についてお悩みの方は、どうぞ安心して当事務所にご相談ください。

相続財産の調査に関するご相談は、初回60分のみ無料で受け付けております。お悩みの方は、ご予算を気にすることなくお気軽にご相談ください。

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