侵害された遺留分を取り戻す!遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)は弁護士にご相談を

松村弁護士
代表弁護士 松村 武 (まつむら たけし)

相続のトラブルの原因は様々ですが、その一つとして「遺留分(いりゅうぶん)」という問題があります。遺留分は生前贈与や遺言などによって、一部の相続人が遺産の大部分を取得しているような場合に問題になります。遺留分について揉め事が生じると、トラブルが複雑化して解決までに時間がかかる傾向があります。

遺留分とは、一体どのような制度なのでしょうか?
どうしてこのような制度があるのでしょうか?

今回は、遺留分の基本について分かりやすくご説明します。

なお、下記は遺留分の基本について一般的なご説明したものですので、具体的なケースによっては考え方が異なることがあります。ご自身のケースに即して具体的なアドバイスをお聞きしたいという方は、当事務所までご相談ください。

当事務所は日頃から相続の案件に力を入れており、遺留分のトラブルについても多数取り扱った実績があります。弁護士実績20年以上の弁護士も在籍しておりますので、安心してご相談ください。

遺留分とは「相続人に最低限保障された遺産の取り分」のこと

遺留分とは、それぞれの相続人に対して最低限の遺産を保障する制度です。

一般的に、身近な方の遺産を想定して生活をしていらっしゃる方は、たくさんいらっしゃいます。例えば、専業主婦の方は、夫が急に死亡した場合には、夫の遺産で子どもの学費を支払っていこうと考えるでしょう。

他にも、親が事業を営んでいる場合に、自分がいずれ事業を引き継ぐだろうと想定して、親の事業を真摯(しんし)に手伝っている方もいらっしゃいます。

このように、身近な方の財産を引き継ぐことを想定して生活をすることは、血縁者であればいわば当然のことです。

このような期待があるにも関わらず、亡くなった方の遺言に、「全財産を長男に相続させる」と書いてある場合、どうなるのでしょうか。

この遺言のとおりだとすると、先ほどの専業主婦の方は、子どもの学費を支払えなくなってしまいます。親の事業を引き継ごうと思っていた二男も、事業に使っていた工場や店舗を長男が取得事業を継続することができなくなってしまうこともあり得ます。

このように、相続に対する期待が遺言によって裏切られてしまうと、あまりにも酷な結果となってしまいます。見ず知らずの第三者に遺産の全てを取られるということは、すんなりと納得できることではありません。

そこで、法律では「遺留分」という制度を設けて、相続人の期待を一定程度保護しています。

例えば、亡くなった方の子どもには、遺留分として法定相続分の2分の1の権利が認められています。遺言に「全財産を長男に相続させる」と書いてあったとしても、二男は「遺言の内容に関わらず、遺産に対して法定相続分の半分は自分のものである」と長男に主張することができます。

上記のように二男が長男にに遺留分を主張することを、「遺留分侵害額請求」(旧:遺留分減殺請求)といいます。

遺留分が認められている人

遺留分は、全ての相続人に認められているわけではありません。「遺産を期待することが当然である」という近い親族にのみ、認められています。

亡くなった方の妻や夫

亡くなった方の妻や夫のことを、「配偶者(はいぐうしゃ)」といいます。亡くなった方の配偶者は、遺留分を主張する権利があります。

ここでの配偶者とは、「亡くなった時点で法的に夫婦と認められている人」を指します。事実婚や婚約中の方は、遺留分を主張することはできません。

別居している場合であっても、戸籍上の婚姻関係が残っていれば、遺留分を主張することが可能です。ただし、このような場合は他の相続人と揉(も)める可能性が高いため、事前に弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

亡くなった方の子ども

亡くなった方の子どもが親の遺産を期待することは当然なので、遺留分を主張する権利が認められています。

亡くなった時点で胎児であった子どもであっても、遺留分を主張することができます。残念ながら死産となった場合については、遺留分を主張することはできません。

亡くなった方の父母や祖父母

亡くなった方の実父母や実祖父母のことを、「直系尊属(ちょっけいそんぞく)」といいます。直系尊属にも、遺留分を主張する権利があります。

義理の両親(配偶者の実父母)は、直系尊属ではありませんので、遺留分を主張することはできません。

遺留分を主張することができない人

下記の方々は、遺留分を主張することができません。

亡くなった方の兄弟姉妹

亡くなった方の兄弟姉妹は、遺留分を主張することはできません。

兄弟姉妹は、場合によっては相続人となることがありますが、可能性としては高くありません。遺産を期待することが当然であるとはいえないので、遺留分を主張する権利は認められていません。

相続放棄をした人

遺留分という制度は、相続人の期待を保護する制度です。相続放棄をした人は、「初めから相続人ではなかったもの」と扱われますので、遺留分を主張することはできません。

相続欠格の対象となる人

亡くなった方に対して重大な不正を行った人は、相続人となることはできません。

例えば、亡くなった方を殺害しようとした人や、亡くなった方の遺言を勝手に書き換えようとした人は、相続人となる資格を失います。

このように、遺産を相続することがふさわしくない人から相続人の資格を剥奪(はくだつ)することを、「相続欠格(そうぞくけっかく)」といいます。

相続欠格者は、相続人としての立場そのものを失うため、遺留分を主張することもできません。

相続人排除の対象となる人

亡くなった方に対して重大な侮辱をした人や、亡くなった方を虐待をした人は、相続人としての資格を失うことがあります。

この制度を「相続人廃除(そうぞくにんはいじょ)」といいます。

例えば、親のお金を無断でギャンブルにつぎこんで借金を繰り返している放蕩息子(ほうとうむすこ)や、長年愛人と暮らしていて家事や育児を一切手伝わなかった夫は、相続人廃除の対象となります。

このような場合は、お亡くなりになった方ご自身が、生前に家庭裁判所で手続きをすることによって、相続人から排除することができます。遺言によって相続人から排除することも可能です。

相続人から排除された人は、相続人としての資格を失うため、遺留分を主張することもできません。

遺留分侵害額請求の時効は1年しかない

遺留分について忘れてはならないのが、「遺留分侵害額請求には期限がある」という点です。期限が過ぎてしまうと、受け取れるはずの財産を失ってしまいます。

知らないうちに期限が過ぎてしまうことを防ぐためにも、遺留分侵害額請求をご検討されている方は、できる限りお早めに弁護士にご相談ください。

遺留分の期限には、下記の2種類があります。「自分のケースが下記に該当するのかどうか分からない」という場合は、お早めに当事務所までご相談ください。

相続開始を知った日から1年間が過ぎた場合

遺留分を行使することができるにも関わらず、1年間以上も放置していた場合は、遺留分侵害額請求権を失います。

ここでの「相続開始を知った日」というのは、「自分の遺留分が侵害されていて、自分が遺留分を主張できるということを知った日」を指します。

相続開始から10年間が過ぎた場合

相続が始まって10年以上が過ぎてしまった場合は、遺留分を主張することはできなくなります。

たとえご自身が遺留分について知らなかったとしても、10年間もの長い時間が経ってしまった以上は、多くの既成事実が積み重なっていますので、もはや覆(くつがえ)すことができなくなります。

「10年間」と聞くと長い年月のように感じるかもしれませんが、遺産分割で揉(も)めているケースでは、あっという間に10年間が過ぎてしまうことがあります。

このような事態を防ぐためにも、遺留分についてお悩みの方はできる限りお早めに弁護士にご相談ください。

遺留分でお悩みの方はお早めにご相談ください

遺留分を主張するための期限は、法律で厳格に定められています。お葬式や遺品の整理で慌ただしくしていると、気が付かないうちに期限が過ぎてしまうかもしれません。

期限を過ぎてしまった場合は、受け取れるはずの財産を受け取ることができなくなってしまいます。お悩みの方は、お早めに弁護士にご相談ください。

当事務所には、弁護士業務20年以上の実績のある弁護士が在籍しております。遺留分についてのトラブルも数多く扱った実績がありますので、遺留分についてお悩みの方はいつでもお気軽にご相談ください。

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