公正証書遺言の書き方とメリットについて
相続人・相続人調査
公正証書遺言は一番確実な遺言書作成方法
遺言の書き方は法律で厳格に定められていますので、法律に精通していない方が作成すると、些細なミスによって無効となるおそれがあります。
無効な遺言が残されていると、ご遺族が混乱してしまい、かえってトラブルの元となってしまいます。
このようなリスクを避けるためにも、当事務所では、法的に最も確実に有効となりうる「公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん/こうせいしょうしょいごん)」の作成をお勧めしております。
法律で認められている遺言には、3種類あります。「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」と「秘密証書遺言」です。この中で、法的に最も確実な遺言は「公正証書遺言」です。
公正証書遺言とは、公証役場で作成する遺言のことです。
公証役場には、「公証人(こうしょうにん)」という法律の専門家が勤務しています。公正証書遺言を作成する際には、公証人が、中立・公正な立場に立って、法律的なアドバイスをしてくれます。このため、法的に確実性の高い遺言書を作成することができます。
それでは、「公正証書遺言」は、具体的にどのような手順で作成するのでしょうか?
今回の記事では、公正証書遺言を作成する手順を説明し、公正証書遺言を作成するメリットについても解説します。公正証書遺言を作成するうえではデメリットもありますので、最後に2つの注意点も紹介します。
なお、下記はあくまで一般的なご説明です。一言で公正証書遺言といっても、様々なスタイルがあります。どのような遺言を作成するべきかは、ご自身の状況に応じて個別具体的に判断しなければいけません。
ご自身の状況に即して具体的なアドバイスをお聞きしたいという方は、当事務所までお気軽にご相談ください。
当事務所では、公正証書遺言に関するお悩みについて初回相談60分無料でご相談を受け付けております。遺言でお悩みの方は、ご予算を気にすることなくお気軽にお問い合わせください。
公正証書遺言を作成する手順
公正証書遺言は、どのような手順で作成するのでしょうか?
手順1:おおまかな遺言の内容を考える
まず、ご自身でおおまかな遺言の内容を考えます。大体の内容が決まったら、遺言の原案を作成します。
ご自身で遺言書の原案を作成することが難しい場合は、当事務所までご相談ください。当事務所にご依頼される方は、この段階でご相談にいらっしゃる方がほとんです。漠然とした内容しか決まっていない場合であっても、構いません。弁護士が遺言の推敲をサポートいたしますので、どうぞ安心してご相談ください。
当事務所にご依頼していただければ、ご自身の相続関係を調査したうえで、ご意向に沿った遺言の本文を作成いたします。
手順2:下書きをもとに公証人と相談する
遺言の原案が完成したら、その原案を持って公証役場を訪れます。公証人が遺言の内容を確認してくれますので、公証人のアドバイスに従い、必要な箇所を修正します。
手順3:証人2名の立ち会いのもとで署名捺印する
遺言の本文が完成すると、いよいよ遺言に署名捺印をします。
まず、遺言の内容に間違いがないかどうか、公証人とともに最終確認をします。間違いがなければ、遺言の原本に署名捺印します。
公正証書遺言の作成は、非常に厳格に行われます。署名捺印をする際には、証人2名の立ち会いが必要となります。
無事に署名捺印が終了すると、公正証書遺言の完成です。
手順4:遺言の原本は公証役場で保管してもらう
公正証書遺言が完成すると、原本は公証役場で保管してもらいます。ご自身で保管をする必要はありません。
公正証書遺言のメリット
法律で認められている遺言には、3種類あります。公正証書遺言は、他の2種類に比べて、どのようなメリットがあるのでしょうか?
メリット1:法的に確実性の高い方法で遺言書を作成できる
自筆証書遺言を残した場合は、ご遺族が「本当にこの遺言を本人が書いたのか」ということを疑うおそれがあります。このような場合は、筆跡鑑定を行ったり、裁判所で遺言無効確認を行うなど、「本人が書いたのかどうか」について確認しなければいけません。
また、遺言の下書きがゴミ箱から発見された場合には、「どれが本物の遺言なのか」ということをめぐって争いとなることがあります。遺言が複数見つかった場合は、最も新しいものが有効となります。ただし、日付がきちんと記載されていない場合には、「どれが最も新しいものなのか」ということを巡って、ご遺族が争いとなるおそれがあります。
しかし、公正証書遺言は、公証人の目の前で本人が署名捺印していますので、筆跡について争いが生じることはありません。遺言の原本は公証役場で保管されていますので、「どれが本物なのか」という争いが生じるリスクもありません。
メリット2:自分で遺言書を保管する必要がない
遺言書は、作成してしまえばそれで終了、というわけではありません。お亡くなりになるまでの間、きちんと保管しなければいけません。
実は、「遺言書の保管方法」で悩んでいらっしゃる方は、たくさんいらっしゃいます。
自筆証書遺言は、ご自身で保管しなければいけません。入院中に自宅に放置していると、親族の誰かに見られてしまうかもしれません。入院する部屋が相部屋である場合は、第三者の出入りがあるため、誰かに見られてしまうかもしれません。
遺言を盗み見た人が、もし遺言の内容に不満があれば、無断で書き換えてしまうかもしれません。こっそり捨ててしまうかもしれません。
このようなリスクを避けるためには、誰にも見つからないように十分に注意をしたうえで、厳重に保管しなければいけません。
しかし、公正証書遺言を作成した場合は、公証役場で原本を保管してくれます。ご自身で管理をする必要がありません。家族に見られる心配はありませんし、誰かに書き換えられるおそれもありません。
メリット3:裁判所での検認手続きをしなくてよい
自筆証書遺言が残されている場合は、ご遺族が無断で遺言を開封することはできません。遺言を発見したら、封筒を開封する前に、まず家庭裁判所で手続きを行わなければいけません。
この家庭裁判所での手続きのことを、「検認(けんにん)」といいます。
家庭裁判所での検認手続きは、遺言が書き換えられることを防ぐために行われます。裁判所で遺言の原本を確認しておけば、後になって遺言が書き換えられたとしても、書き換えられた箇所がすぐに分かります。
しかし、ご遺族の方が、法律に精通していない場合は、検認手続きのことをご存じない可能性があります。遺言を発見すると、検認手続きを行うことなく、開封してしまうかもしれません。検認手続きを行う前に遺言を開封することは、法律で禁止されています。
検認手続きのことをご存知の場合であっても、お葬式や香典返しの手続きなどで慌ただしくしていると、ご遺族が家庭裁判所を訪れる時間が無いかもしれません。ご家族がお亡くなりになるということは、それだけで大きな心労となりますので、その期間に慣れない裁判所を訪れるというのは、ご遺族の方にとってさらなるストレスとなってしまうかもしれません。
公正証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認手続きを省略することができます。既に公証人が遺言の内容を確認していますので、遺言を書き換えられるおそれがないからです。
このように、公正証書遺言は、ご遺族の方が裁判所を訪れる手間がないというメリットがあります。
公正証書遺言の注意点
公正証書遺言には多くのメリットがありますが、注意するべき点もあります。
注意点1:公正証書遺言には手数料がかかる
公正証書遺言を作成するためには、公証役場に手数料を支払わなければいけません。手数料の金額は、相続財産の価額によって異なりますが、およそ数千円から数万円ほどかかります。
例えば、遺産の総額が1,000万円であれば、手数料は17,000円です。遺産の総額が1億円であれば、手数料は43,000円です。
この手数料は、役場に支払う手数料です。弁護士に支払う費用とは異なります。
注意点2:ごく稀に公正証書遺言でも無効になる場合がある
公証人は、豊富な実務経験を有する法律のエキスパートです。公証人が責任を持って遺言の内容を確認してくれるため、公正証書遺言を作成した場合は、形式的なミスが生じるおそれはありません。
例えば、遺言に日付が書かれていない場合は無効となりますが、公正証書遺言では、このような法的不備が生じるおそれはありません。
ただし、公正証書遺言であっても、無効となる可能性はゼロではありません。ごく稀なケースとして、公正証書遺言でも無効となることがあります。
例えば、公正証書遺言を作成した時点で十分な判断能力がなかった場合は、その遺言は無効となります。
公正証書遺言を作成する場では、公証人が本人と対面して、遺言の内容について本人に直接確認します。認知症の進行状況によっては、医学的検査をしなければ認知症であると判断できない場合がありますので、直接会話をしても、認知症であることに気が付かない可能性があります。
このようなケースでは、後になって公正証書遺言が無効となる可能性があります。実際に、過去の裁判例では、判断能力が不十分であったことを理由として、公正証書遺言が無効となったケースがあります。
公正証書遺言は、遺言の3つの種類の中で最も確実な方法ではありますが、無効となる可能性はゼロではありません。
公正証書遺言をご検討されている方は当事務所までご相談ください
公正証書遺言は、法律のエキスパートである公証人の監督のもとで、厳格な手続きを経て作成されます。無効となる可能性はゼロではありませんが、3種類の遺言の中では圧倒的に確実性が高い方法です。
また、公正証書遺言は、公証役場で原本を保管してくれるため、ご自身で遺言を管理をする手間がかかりません。ご遺族が裁判所で検認手続きを行う手間がなくなるというメリットもあります。
遺言の書き方は法律で厳格に定められていますので、法律に精通していない方が作成すると、些細なミスによって無効となるおそれがあります。無効となりうる遺言が残されていると、混乱の元となり、相続トラブルの火種となってしまいます。
このようなリスクを避けるためにも、今から遺言書を作成することをお考えの方には、法的に最も確実な手段である公正証書遺言の作成をお勧めいたします。
当事務所は日頃から相続の案件に力を入れており、これまでに数多くの公正証書遺言を作成した実績がございます。遺言についてお悩みの方は、どうぞ安心して当事務所にご相談ください。
当事務所には、弁護士経験20年以上の弁護士が在籍しており、これまでに数多くの相続トラブルを解決した実績がございます。公正証書遺言の作成をご検討されている方は、当事務所にお任せください。