未成年や胎児がいる場合の相続の進め方|特別代理人選任について
未成年や胎児にも相続の権利はある
相続人が未成年である場合は、大人と同様に相続する権利があるのでしょうか?また、亡くなった方の子どもがまだ胎児である場合、その子どもは相続人となることができるのでしょうか?
未成年の子どもであっても、大人と同様に相続をする権利を有します。また、亡くなった方の妻のお腹に胎児がいる場合は、その子どもが無事に誕生すれば、その子どもは相続人となることができます。
それでは、相続人が未成年や胎児である場合、どのように手続きを進めたらよいのでしょうか?
今回は、胎児や未成年者が相続人となる場合について、手続きの流れや注意点について分かりやすく解説します。
なお、下記はあくまで一般的なご説明です。未成年の相続には様々な法律問題が含まれますので、具体的な状況に応じて個別に判断することが重要です。ご自身の状況に即して具体的なアドバイスをお聞きしたいという方は、当事務所までご相談ください。
当事務所には、弁護士経験20年以上の実績のある弁護士が在籍しており、これまでにも数多くの相続の案件を取り扱った実績がございます。未成年の相続や胎児の相続についてお悩みの方は、どうぞ安心してご相談ください。
未成年や胎児が相続人となる場合とは
未成年者や胎児が相続人となる場合とは、具体的にどのような場合なのでしょうか?
未成年の子どもがいる場合
最も多いケースとしては、「父親が亡くなった時点でまだ子どもが未成年である場合」です。未成年者であっても、法律上の親子関係があれば、法律によって自動的に相続人となります。
「法律上の親子関係」とは、戸籍上の親子関係のことです。結婚している夫婦の間に生まれた子供だけでなく、再婚相手の連れ子を養子としている場合や、愛人の子どもを認知している場合なども、その子どもは相続人となります。
妻が妊娠中に亡くなった場合
民法では、相続が発生した時点でまだ母親のお腹の中にいる子どもについても、相続をする権利があることを認めています。
つまり、妻が妊娠している間に父親が亡くなったケースにおいて、その子どもが無事に誕生すれば、その子どもは父親の相続人となります。
相続が発生した時点で胎児であった場合でも、相続割合は変わりません。例えば、亡くなった方の相続人として、子どもが2人、胎児が1人いる場合を考えてみましょう。3人が同じ割合で平等に相続することになりますので、3人の相続権は3分の1ずつです。
遺言で胎児認知をした場合
事実婚関係にあるパートナーが妊娠している場合、その子どもを認知しなければ、法律上の親子関係は生じません。
通常、子どもを認知する手続きは、子どもが誕生した後に役所で行います。しかし、既に余命宣告を受けている方は、子どもが誕生することを待っていては、手遅れとなってしまうかもしれません。
このような場合は、「遺言を作成して子どもを認知する」という手段があります。
遺言の中に「Aさんの子どもを認知する」ということを記載しておけば、その子どもが無事に誕生した後に、遺言執行者が認知の届け出を行います。
認知の届け出を行うと、その子どもと法律上の親子関係が生じますので、その子どもは父親の相続人となります。
遺言で未成年者を認知をした場合
既に誕生している子どもについても、遺言で認知をすることができます。事実婚の妻の子どもを認知する場合や、愛人の子どもを認知する場合などに使われます。
この場合も、遺言執行者が認知の届け出を行います。
相続人が未成年の場合の相続の手続き
それでは、相続人が未成年である場合は、どのようにして相続の手続きを進めるのでしょうか?
相続人が未成年の場合は「代理人」を立てなければならない
遺産分割は、必ず「相続人全員が参加すること」が必要です。相続人が未成年であるという理由で、話し合いから除外することはできません。
もし未成年の相続人を参加させずに遺産分割を行った場合、その遺産分割は無効となります。法的な効力はありません。
しかし、未成年者は、単独で法律行為をすることができません。よって、未成年者本人が遺産分割に参加するということはできません。
そこで、このような場合、「未成年者の代わりとなる人」が遺産分割に参加します。この代わりとなる人のことを、「代理人」と呼びます。
親も相続人である場合は代理人にはなれない
それでは、誰が代理人となるのでしょうか?誰でも代理人になれるのでしょうか?
通常、未成年者の代理人は、保護者である親が行います。しかし、相続の手続きでは、多くの場合は親が代理人となることができません。
未成年者が相続人となる場合、その親も相続人となることがあります。例えば、父親が亡くなった場合に、その妻と子どもが相続人となるケースです。
このような場合、親と子どもは、「遺産を取り合う関係」になってしまいます。親が子どもの代理人となることを認めてしまうと、「自分の取り分を多くするために、子どもの取り分を少なくしよう」と考えるおそれがあります。
未成年者である子どもは、立場が弱いため、親からこのような内容を押し付けられると、不本意だと思っても受け入れてしまう可能性があります。
そこで、法律では、親も子どもも相続人となるケースでは、親が子どもの代理人となることを禁止しています。
このように、子どもと親の利益が衝突する状況のことを、「利益相反(りえきそうはん)」といいます。
親が代理人になれない場合は特別代理人を選任しなければならない
親が子どもの代理人になれない場合は、「特別代理人」を探さなければいけません。
特別代理人とは、「未成年者の相続の手続きを行うために、裁判所によって特別に選ばれた代理人」のことです。
特別代理人は、相続の手続きを行うことだけを目的として、裁判所によって選任されます。このため、特別代理人は、相続の手続きについて広範な代理権を持ちますが、その他の事項についての代理権は有しません。
特別代理人の選任には家庭裁判所での手続きが必要
特別代理人は、家庭裁判所によって選任されます。申立書を作成したうえ、必要となる相続関係の資料を添付して、家庭裁判所に提出します。
相続人がまだ胎児である場合の相続の手続き
相続人がまだ母親のお腹の中にいる場合は、一般的には、子どもが無事に誕生することを待ってから、遺産分割の手続きを始めます。
胎児には相続権が認められていますが、もし残念ながら死産となった場合には、相続をすることはできません。つまり、まだお腹の中にいるうちに遺産分割の手続きを行っても、万が一死産となった場合は、その手続きは無駄となってしまいます。
このため、お亡くなりになった方の子どもがまだ胎児である場合は、子どもが誕生することを待ってから遺産分割を始める、ということが実務では一般的となっています。
子どもが誕生した後の相続の手続きは、上記で説明した「相続人が未成年の場合の相続の手続き」と同じ流れとなります。
未成年には相続税の控除が認められている
未成年の相続の手続きは複雑ですが、メリットもあります。未成年が相続人となる場合は、相続税の税額控除が認められます。
相続税の控除とは、相続人が未成年である場合に、相続税の額から一定の金額が差し引かれるという制度です。
どれぐらい税金が安くなるかは、未成年者の状況によって異なります。具体的な計算方法を知りたいという方は、当事務所までお問い合わせください。
未成年や胎児の相続でお悩みの方は当事務所までご相談ください
未成年や胎児の相続には、様々な法律問題が含まれます。もし未成年の相続人を参加させずに遺産分割を行った場合、その遺産分割は無効となります。法的な効力は生じません。
しかし、親が子どもの遺産分割の手続きを進めてしまうと、利益相反に該当するおそれがあります。利益相反に該当する場合は、家庭裁判所で特別代理人を選任してもらわなければいけません。
このように、相続人が未成年や胎児である場合は、通常の相続の手続きよりも複雑となります。未成年や胎児の相続でお悩みの方は、相続問題に精通した専門家にご依頼されることをお勧めいたします。
当事務所は日頃から相続の案件に力を入れており、これまでに未成年者の相続に関する案件を数多く取り扱った実績がございます。未成年や胎児の相続についてお悩みの方は、どうぞ安心して当事務所にご相談ください。
当事務所では、未成年者の相続に関する特別代理人の業務も受け付けております。当事務所にご相談していただければ、特別代理人選任の申立ての手続きはもちろんのこと、その後に特別代理人として未成年者の相続の手続きを代行することも可能です。
未成年や胎児の相続に関するお悩みについては、初回60分のみ無料でご相談を受け付けております。未成年や胎児の相続についてお悩みの方は、ご予算を気にすることなくお気軽にお問い合わせください。